中庭

学校日記 school diary

第49号 地図

公開日
2021/06/03
更新日
2021/06/03

校長室より

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2年生社会科の学習で、日本の工業地帯の位置について考える学習が展開されていました。
意見交流の場面で思わず○○さんに話しかけてしまいました。
○○さん「海の近くが多いですね」
わたし「それは何ででしょう?」
○○さん「資源があるから・・・?」
わたし「どこに?」
○○さん「海底にです」
わたし「なるほど。ところで日本の工業地帯では何をつくっているの?」
○○さん「石油製品。ん?石油? あ!船で運ばれてくる!!」
この瞬間が、たまりません。○○さんの脳内にパパパッと電流が走った瞬間ですね。
「製品を輸出するときも・・・」とまでは、伝えませんでした。
学習を進める中で、自分で気付くことができるでしょう。
この学習で参考となるのは地図です。
工業地帯の位置が一目で分かります。

今日は6月3日、測量の日です。
測量は国民生活の安全性・快適性の向上に、重要な役割を果たしてきました。
しかし、測量についての国民の評価は必ずしも高くなく、測量の成果が不適切に扱われる問題も発生したようです。
そこで、建設省(現:国土交通省)が「日本で測量の意義及び重要性に対する国民の理解と関心を高めること」を目的として、1989年(平成元年)に6月3日を測量の日と制定しました。
なぜ、6月3日かというと、1949年(昭和24年)6月3日に「測量法」(法律第188号)が公布されたからだそうです。

日本の地図といえば、伊能忠敬氏が有名ですが、富山県人としては、石黒信由氏を知っておいてほしいと思います。
石黒氏は、江戸時代後期に射水郡高木村(現:射水市)に生まれます。
和算、西洋数学や天文暦学などの学問を極め、100年以上誰も解けなかった和算の難問の全解答を著書で紹介するなど、とてつもない才能の持ち主でした。
その探究心に限りはなく、和算を実学へと応用し、検地や新田開発、用水や河川の改修、正確な測量術の確立、精緻な地図作製方法、測量器具の開発改良、航海術など、実に多くの分野に偉業を残します。

石黒氏の作製した「加越能三州郡分略絵図(国指定重要文化財)」は、現代の地図と比較してもほとんど差がないほどきわめて高い精度です。
和算の素養を基礎としてヨーロッパの新しい科学を取り込んで作製されるなど、明治以降に発達した近代地図のさきがけとなりました。
伊能忠敬氏の業績と並び称されますが、石黒氏の地図は内陸部も細かく測量した地図となっており、伊能氏の日本全図に負けない精密なものです。
たまたま数日前に射水の方と話す機会があり、石黒氏が話題に出て、「伊能氏の地図は海岸線中心だが、石黒氏は内陸もちゃんと示しているから、石黒氏の方がすごいと思いますよ」と言われました。
その言葉に誇りを感じました。
二つの地図を並べると、射水の方の言われることが分かります。
石黒氏の地図は内陸まで正確に描かれており、伊能氏のものは、海岸線が中心です。
まあ、比較するものではない、どちらも偉業なのですがね。

さて、砺波の偉人、砺波で誇れる人物はどなたでしょう?
出中生のみなさん、あなたの考える偉人をわたしに教えてもらえないかな。
いつでも校長室の扉は開いていますよ。