中庭

学校日記 school diary

第21号 守る

公開日
2021/04/30
更新日
2021/04/30

校長室より

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食べ残しや大食いなど食品の浪費を禁じる法律が、4月29日に可決されました。
違反した場合は、最高およそ170万円の罰金などが盛り込まれているようです。

びっくりされた方はごめんなさい。これは、中華人民共和国のお話です。
中国メディアによると、全国人民代表大会の常務委員会が、4月29日に食品の浪費を禁じる「反食品浪費法」を可決したとのことです。公布と同時に施行するという徹底ぶりです。

具体的には、大食いをしている動画をネット等で公開することが禁止です。
違反した場合は、日本円にして最高でおよそ170万円の罰金。
また、注文させた飲食店にも、およそ17万円の罰金が科される可能性があるとのことです。

中国では、おもてなしとして、お客さんが食べきれないほどの料理を注文する習慣があるそうですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、食料供給に影響が出ることを警戒して去年から食品ロスを防ぐ取り組みを進めていることの一環のようです。

食糧自給率の低い日本も、食品ロスの問題を抱えています。
しかし、ここまでの法律を作ろうとしていると聞いたことはありません。

出町中学校の生徒たちはどうかな?

先日、給食の準備の時間に、廊下で大盛りのご飯を持った○○さんと出会いました。
偏見で申し訳ないですが、そのときの表情から想像するに、○○さんはペロリと完食したことでしょう。
「たくさんご飯もってもらったねぇ」と聞いたら、「はい」と、とてもうれしい表情をしていたからです。(※正解でした。今日廊下で会ったら「校長先生、あれ全部食べましたよ」と、笑顔で報告してくれました。)


ここからは、決してどこかや誰かを批判するという意図は全くないことを前提に書きます。
何でもかんでも、法律やルールをつくって縛っていく状況について、わたしは疑問があります。
きりがないと考えるからです。法の網をくぐり抜けようとするものも出現し、より細かい法律が必要になるといった、いたちごっこに陥る危険性があります。

小さい頃、「農家の方が汗水出して育てた農作物や、漁師さんが苦労して捕まえた魚や動物を、ありがたくいただかなくてどうする」と教えられました。
また、「植物も動物も命があり、その命をいただいていることを考えよ」と教えられました。
結果として、食べ物を残すということはだめだとすりこまれました。
※そして、何でも食べて体重が増えるのですが・・・
法律に触れるから、ルールをやぶるから、食べ物を残さないのではありません。

新型コロナウイルス感染症の対策についても、似たように感じる部分があります。
諸外国のようにロックダウンや、罰則付きの法律の整備などの強い措置をとらず、お願いベースで日本はここまで来ているように感じます。
そのことに様々な意見や批判があることは知っていますが、やはり法律に頼らなければならないのでしょうか。罰則付きの法律の整備が必要なのでしょうか。

確かに、命を守ることは最優先です。
苦肉の策かもしれませんが、命の他にも、守るべきものがあると思います。
✳ただし、矛盾を生じさせないための法整備は必要ですよ