学校日記

【PISA2022】日本は3分野すべてで世界トップレベルに、読解力で過去最高水準! 12/6 486号

公開日
2023/12/06
更新日
2023/12/06

校長室

 経済協力開発機構(OECD)は、2023年12月5日、国際的な学習到達度調査「PISA2022」を発表しました。コロナ禍を経て4年ぶりとなる今回、日本は数学的リテラシーにおいて全参加国・地域(81か国・地域)中で5位、読解力は同3位、科学的リテラシーは同2位の結果となりました。前回2018年調査から、OECDの平均得点は低下した一方、日本は3分野すべてにおいて前回調査より平均得点が上昇したことが分かりました。

 「PISA(Programme for International Student Assessment)」は、OECDが中心となり実施している国際的な学習到達度に関する調査。義務教育修了段階の15歳の生徒(日本では高校1年生)を対象に、これまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測る目的で、「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」の3分野について、2000年から3年ごとに調査を実施しています。

 第8回となるPISA2022は、新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期、2022年に本調査を実施。2022年調査では「数学的リテラシー」を中心に、「科学的リテラシー」「読解リテラシー」の3分野を調査。主要3分野調査のほか、生徒の家庭環境や学習条件などを調査し、学習到達度との関連性を分析する「生徒質問調査」と、デジタル機器の利用状況について尋ねた「ICT活用調査」を行いました。

 日本の得点は、数学的リテラシー536点(同472点)、読解力516点(OECD平均476点)、科学的リテラシー547点(同485点)。全参加国(81か国・地域)中の順位は、数学的リテラシーが5位、読解力が3位、科学的リテラシーが2位でした。日本の順位の推移をみると、読解力は全参加国・地域中で2000年8位、2003年14位、2006年15位、2009年8位、2012年4位、2015年8位、2018年15位、2022年3位と過去最高の水準となりました。

 数学的リテラシーは、比較できる2003年以降をみると、2003年6位、2006年10位、2009年9位、2012年7位、2015年5位、2018年6位、2022年5位。科学的リテラシーは、比較できる2006年以降をみると、2006年6位、2009年5位、2012年4位、2015年2位、2018年5位、2022年2位となり、3分野すべてにおいて世界トップレベルとなりました。なお、OECD加盟国(37か国)では、数学的リテラシー1位、読解力2位、科学的リテラシー1位という結果でした。

 文部科学省と国立教育政策研究所では、今回の日本の結果について「新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があることが、OECDから指摘されているとのこと。このほか、・学校現場において現行の学習指導要領を踏まえた授業改善が進んだこと・学校におけるICT環境の整備が進み、生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたことなどのさまざまな要因も、日本の結果に複合的に影響していると考えられる」と分析しているようです。

 日本の高校生の読解力が上向いた結果となり、約20年間で成績上昇への改革を連発してきたことが、「奏功」し、文科省幹部は胸をなでおろしておられます。ただ、文科省の手応えと学校現場の実感との間には温度差があるのも事実のようです。現場の教員からは、「討論する授業は確かに増えたが、分かりやすく表現するような力は育っていない。」「PISAショックは当時のゆとり教育への批判を加速させ、授業時間の増加が進んだ。小学校英語の教科化やプログラミング等新たな学びが次々と詰め込まれ、学校が窮屈になった。」という声が漏れているようです。読者の皆さんは、どのように受け止められましたか。

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