やばい no.303
- 公開日
- 2022/06/17
- 更新日
- 2022/06/17
校長室より
「暑い!!」
「ヤバい!!」
たまたま出中生同士が会話している声が耳に飛び込んできました
ん?やばい?!
数年前から耳にするこの言葉を、本校でも聞くこととなりました
「ヤバイ」という単語で、いろいろな意味を表現しようとする若者がいます
自分が歳をとったからか、この単語には違和感があります
何人かの出中生に、「「ヤバイ」という言葉を使いますか?」と、休み時間の廊下でリサーチしました
使う出中生は半々ほどでしょうか ※個人調べ(個人的な印象です)
「最近は使いませんねぇ」と答えた出中生もいました
「使っています」「さっきも使いました」と申し訳なさそうに答えてくれた出中生もいました ※そのように思わせる問い方、そのような表情だったかと反省・・・
答えてくれたみなさん、協力ありがとう
01テスト前日「ヤバイ」(不安しかない)
02体調不良「ヤバイ」(身体がしんどい)
03よいことがあった!「ヤバイ」(うれしい!!)
04テスト前日の徹夜「ヤバイ」(眠い・・・)
05最高の気分「ヤバイ」(超楽しい!!)
06激怒された「ヤバイ」(怖い!!しまった!!)
07裏切られた「ヤバイ」(なぜだ!!腹が立つ!)
08大切なものを失った「ヤバイ」(悲しい・・・)
09大好物を食べた「ヤバイ」(おいしい〜)
10苦手なものを口にした「ヤバイ」(不味い)
11食べたケーキが超絶甘かった「ヤバイ」(甘〜い)
12食べたカレーライスが超絶辛かった「ヤバイ」(辛〜い)
13欲しいものが超高価「ヤバイ」(高っ!)
14特売品が激安「ヤバイ」(安っ!)
15摂氏35度超えの夜「ヤバイ」(暑っ!)
16摂氏−5度の朝「ヤバイ」(寒っ!)
17映画俳優と遭遇「ヤバイ」(かっこいい〜)
18映画女優と遭遇「ヤバイ」(きれい〜)
19小動物と遭遇「ヤバイ」(かわいい〜)
20道路でこけた「ヤバイ」(かっこわるい、恥ずかしい)
21こけたら手を貸してくれた「ヤバイ」(優しい〜)
22と、思ったら放された「ヤバイ」(意地悪・・・)
等々・・・・
その時の状況や前後のつながりが分からないと、「ヤバイ」だけではよく分かりません
※ひとつの言葉でいろいろな感情を表現できることはある意味すごいかもしれませんが・・・
日本語の表現の多彩さを説明する時、よく色の名前が取り上げられます
例えば、日本の伝統色の中では赤系の色だけでも次のようなものがあります ※順不同
01赤 (あか):光の三原色
02金赤 (きんあか):少し光沢感のある赤
03紅色 (べにいろ):紅花から抽出される色素の色
04紅赤 (べにあか):少し青みのある赤
05薄紅 (うすくれない):薄い紅花染の色
06真紅 (しんく):真の紅色
07退紅色 (たいこうしょく):色褪せたような紅染の色
08暗紅色 (あんこうしょく):黒みを帯びた紅色
09紅梅色 (こうばいいろ):梅の花の色
10韓紅色 (からくれないいろ):大陸由来の美しく鮮やかな色
11桃色 (ももいろ):桃の花の色
12桜色 (さくらいろ):桜の花の色
13灰桜 (はいざくら):灰色がかった桜色
14撫子色 (なでしこいろ):撫子の花の色
15薔薇色 (ばらいろ):薔薇の花の色
16躑躅色 (つつじいろ):躑躅の花の色
17鴇色 (ときいろ):鴇の風切羽根の色
18珊瑚色 (さんごいろ):珊瑚の色
19今様色 (いまよういろ):平安時代に流行した色
20朱色 (しゅいろ):古来の製法で作られた朱肉の色
21潤朱 (うるみしゅ):くすんで濁った朱色
22洗朱 (あらいしゅ):朱色を薄くした色
23丹色 (にいろ):赤い土や顔料の色
24鉛丹色 (えんたんいろ):酸化鉛の顔料の色
25牡丹色 (ぼたんいろ):牡丹の花の色
26黄丹 (おうに):紅花と梔子で染めた色
27真赭 (まそお):天然硫化水銀が主成分の顔料の色
28緋色 (ひいろ):茜の根で染めた色
29浅緋 (あさひ):浅く染めた緋色
30紅緋 (べにひ):紅色みを帯びた緋色
31深緋 (ふかひ):深く染めた緋色
32猩々緋 (しょうじょうひ):中国の伝説上の生き物「猩々」の血の色
33茜色 (あかねいろ):茜染のようなくすんだ黄赤色
34苺色 (いちごいろ):熟した苺の色
35蘇芳 (すおう):インドのマメ科の植物、蘇芳の色
36梅鼠 (うめねず):紅梅のような赤みの鼠色
37臙脂 (えんじ):古代中国の「燕」の国から伝わった赤
38東雲色 (しののめいろ):明け方に東の空にたなびく雲の色
39一斤染 (いっこんぞめ):紅花の花一斤で絹一疋を染めた薄い色
等々・・・
ヤバイ!!!
前出の「ヤバイ」の22種類を超えてしまいました
日本語の表現は多彩です
一文字で全てを表すことは合理的、省力的、効率的なのかもしれませんが、歳をとると日本語の深み、言い換えればそれを表現する感受性、深い心の在り方が大切だと思います
そう言えば日本語の通じない国で、現地語について最初に教えられたことは、何かに対して「すごい!!」と驚くにしても、いろいろ表現があるということでした
日本だけでなく、どの国も表現については様々な語彙をもっていた方がよいという共通点が興味深いです
社会性の必要な、同じ人間だからでしょうか・・・
言葉はおもしろいです
そして、扱いは難しいですな
そう言えば、・・・
(誤)今日は朝からヤバイ 本日保護者向け案内を配布しますが、ヤバいことにならぬよう、まわりのおとなが意識していることはヤバイ
↓↓↓↓
(正)今日は朝から大変蒸し暑いです 本日保護者向け案内を配布しますが、子供たちが健康を害さないように(※命にも関わります)、まわりのおとなが意識していることは大切です
熱中症予防のための、マスク着用についての保護者向け(お願い)文書はこちらです
ご理解・ご協力をお願い申し上げます
↓↓↓※校内電子掲示板による告知の様子