職人技が極限の薄さを可能にします!11/25第282号
- 公開日
- 2022/11/25
- 更新日
- 2022/11/25
校長室
6年生の金沢校外学習に引率し、作田金銀製箔所でオリジナルの箸の金箔張りを体験しました。金沢の金銀製箔は、全国シェアの95%を占め、ユネスコ無形文化遺産にも一昨年登録された技術だそうです。
作田金銀製箔所では、箸づくり体験する工房もあったのですが3名の職人さんの作業場や製品の売り場や作品展示ギャラリーもありました。私は、3人の職人さんが「澄切り・引き入れ」作業をしておられる姿を見入ってしまいました。その私に気が付かれた職人の一人が金箔が出来上がるまでの工程を丁寧に説明してくださいました。質問も2,3しました。「金箔が出来上がるまでどのくらいかかるのですか?」「半年ぐらいですね」「金沢市には同じような職人は何人ぐらいおられるのですか?」「20〜30人ぐらいでしょうか?」「この技術は江戸時代ぐらいから伝わったのでしょうか?」「日本だと安土桃山時代ですかね。外国だったら紀元前からエジプトでありましたよ・・」等です。とても勉強になり、自分が歴史で習った内容とも繋がったのを実感しました。
約半年の工程をご紹介します。1 金合わせ 溶解炉にて金地金と少量の銀、銅の地銀を1,300度くらいの高熱で溶解して定型の金合金を作ります。 2延べ金 定型されたインゴットをロールに圧延機で、約100分の5ミリの厚さまで圧縮します。 3澄内工程 約6cm角に裁断された荒金を1枚ずつ特殊加工された和紙に挟み、澄打ち機でまんべんなく打ち延ばします。4 澄の仕立て。澄の仕上がり 金箔を30枚ずつ束ねる。箔打ち工程へ引き渡します。5 紙仕込み 1,800枚の箔打ち紙の原紙(雁皮紙)を藁灰汁・柿渋、卵白の混合液に浸した後に水分を絞り取り、箔打ち紙仕込み専用の打ち機で打ちたたき、1枚ずつほぐしを繰り返して、箔打ち機を仕上げます。この作業は3〜4か月かかります。6 澄切り・引き入れ 20cm角の金箔を約12等分に切ります。5で仕上がった箔打紙にカットされた金箔を挟み、1,800枚を1パックとして袋革に包みます。7 打ち前(箔打ち) 袋革に包まれた箔打紙を箔打機で約3分間打ち、15分間熱を冷ます作業を数十回繰り返して、厚さ10,000分の1ミリ程まで打ち延ばします。 8箔移し・仕上がり 打ち上がった箔を革板の上で、竹枠にて規格サイズの1枚裁断し、間紙(切紙)に1枚ずつ挟み、100枚ごと糸でからげ、金箔の仕上がりです。
見事としか言いようのない職人技でした。6年生の子供たちは、この熟練技の凄さを肌で感じているようでした。