学校日記

野球できるうれしさ忘れず!  3/8 539号

公開日
2024/03/08
更新日
2024/03/08

校長室

 第96回選抜高校野球大会に出場する32校の主将による「キャプテントーク」が5年ぶりに昨日大阪市内で行われました。元日の能登半島地震で石川県輪島市の校舎が大きな被害を受けた日本航空石川の宝田一慧(ほうだ・いっけい)主将(2年)が「みんなで野球ができるうれしさを忘れずに、甲子園でも自分たちの野球をしたい」と決意表明しました。今日の組み合わせ抽選会で対戦相手が決まります。

 元日の能登半島地震を受け、県外で練習を重ねてきた日本航空石川の宝田主将は変わり果てた地元の町並みをこう表現しました。

 「ニュースで地震前と違う姿なのは見ていたのですが、被害は想像以上。2カ月たっても復興していない状況も、思っていた以上でした」

 先月28日、中村隆監督と石川・輪島市役所を表敬訪問しました。その際に見た風景です。震災後、部員で地元に帰ることができたのは自分だけ。「この(被害の)様子をみんなに伝えないといけない」と思ったと言います。

 地震発生時、チームメートの多くは正月休みで帰省中。被災した仲間もおり、学校も大きな被害を受けました。全員が集まって野球ができない中、系列校である山梨・日本航空高の支援を受けて山梨県内のグラウンドを借り、集合できた部員たちで1月19日から練習を再開。その後、「野球のまち」を掲げる徳島・阿南市が受け入れを表明し、今月4日からは同市で選抜大会に向けた調整を行ってきました。

 宝田主将が特に気を配ったのは「仲間のメンタル面」。毎日、ミーティングを開いて気持ちを一つにし、野球に取り組めるよう心掛けてきました。「周りの人に支えられて野球ができています。その恩をどうやって返していくかという話をしてきました」。全員で出した答えが、前向きに野球に打ち込むことでした。

 「僕らからしたら、つらい経験ですし、なかなか立ち直れなかったのですが、監督からずっと下を向いているのではなく、前を向いて進んでいこうと言われました」
気持ちの整理がつかず集合が遅れていた部員たちも徐々に集まり、2月中旬に全員がそろいました。そこからチームが同じ方向を向いて練習できるようになったことに、主将としての喜びを感じたそうです。

 「仲間に会えない時間があり、野球がみんなとできるのは当たり前じゃないと気付きました」と振り返った宝田主将は「みんなで野球ができるうれしさを忘れず、甲子園でも自分たちの野球をしたい」と口元を引き締めました。

 優勝候補を問うキャプテントークの事前アンケートには『日本航空石川』と記しました。「自分たちの持っている力を発揮すれば…。そこは自信を持ってやっていきたい」。被災地の希望となるべく、全力で甲子園に臨みます。

 航空石川高校野球部には、北陸地方出身の選手が多く集まっています。富山県出身者も4名いるはずです。航空石川高校野球部の活躍が能登半島地震の被災地北陸地方の希望の光になればと、心から応援しています。(写真は2017年3月19日甲子園外野スタンドから撮影)