液状化の復旧策見えず! 3/5 536号
- 公開日
- 2024/03/05
- 更新日
- 2024/03/05
校長室
国土交通省が公表した宅地の液状化被害は推計で石川県のほかに新潟県と富山県、福井県の計1万5千件にのぼります。石川県内灘町では、砂質の地面が液状化するだけでなく、横に滑る「側方流動」が起きたと見られます。砂が流失した部分で建物が傾いたり地面から砂が噴き出したりしています。内灘町では、住民向けの説明会などが開かれず、復旧や復興に向けた具体的な方策が見えないまま発生から2か月を超えました。
そもそも「液状化」とは、どういった現象かインターネットで調べてみました。能登半島地震では、各地で液状化の現象が確認されていますが、専門家が航空写真などから分析したところ、新潟県から福井県にかけての広い範囲に及び、これまで液状化があまり確認されていない震度4程度の揺れでも起きていたことが分かりました。
専門家は強い揺れが長く続いた上、液状化しやすい砂地の地盤が広がっていたことが要因とみています。
地盤災害に詳しい防災科学技術研究所の先名重樹主任専門研究員は、地盤が揺さぶられることで地下水と泥や砂が噴き出す「液状化」の現象が、今回の地震でどの範囲で起きたか現地調査に加え、航空写真や衛星写真で分析しています。その結果、液状化が確認された範囲は新潟県、富山県、石川県、福井県にかけての広い範囲に及んでいました。
一般に、液状化は震度5程度以上で発生し、震度4程度ではこれまであまり確認されていませんでしたが、今回の地震ではこうした地域でも起きていたということです。このうち震度4の揺れを観測した富山県魚津市では、港周辺の駐車場の複数箇所で砂が混じった水が噴き出した痕跡が確認されました。
先名研究員は▽地震の規模が大きく揺れが続いたのは1分程度と熊本地震と比べても長かったことや、▽北陸や新潟県の沿岸部に液状化しやすい地下水位が高い砂地の地盤が広がっていたことなどが要因とみて、さらに分析を進めることにしています。
先名研究員は「今回は震度4でも発生していて驚いている。関東でも沿岸部や川沿いの低地では液状化しやすい地域も多いです。液状化してから対応するのは難しく、住もうとしている場所のリスクを確認し、リスクがある場合は地盤改良などの対策を検討してほしい」と話されていました。
特に被害が大きかった宮坂、西荒屋、室、湖西といった地区は砂丘の斜面を切り出して開かれた古くからの住宅街。4地区の高齢化率は38%と町全体に比べて10ポイント程高いです。建て替えや修理には公的支援があるものの、高齢者にとっては再建の負担は重過ぎるのが現状のようです。(写真は富山新聞 内灘町の家屋や建物)