学校日記

席替え! 10/12 454号

公開日
2023/10/12
更新日
2023/10/12

校長室

 昨日、ある教室の授業参観に行くと席替えをしたばかりだということに気が付きました。友達を作るのが苦手な児童の周辺には、その子の仲良しが並べてあり、担任の先生の意図がはっきり見えました。

 放課後の職員室でその担任の先生に尋ねてみました。「先生は、学級内の席替えを、どれぐらいの頻度でどんな方法でやっておられるのですか?」「月1回なんですけど、決め方は勉強の効率のことがあるから『先生決めるね!』と子供たちと約束しています。」「今月の席替えは、先生の意図がはっきり見えましたね。・・・」「ところで校長先生は担任時代、席替えはどのようにやっておられてたのですか?」「席替えは、子供たちの最大の関心事です。職員室の座席だって先生方にとってそうでしょう。勿論先生のように個別に配慮が必要な子供は、先生と同じように意図的な席にしていたと思うよ。しかし、一般生徒には『生徒の皆さんから自分たちで席替えをさせて欲しい』とよく要望を聞くんだけど、結局口の強い人の思い通りになり、全員平等というのは無理なんだ。我慢している人が必ず出てくるので『くじ引きを原則とします』を子供たちに年度当初に明言しておきました。」と。

 昔、ある先生のクラスがいつもガサガサしていたことがありました。理由は班や座席の決め方でした。その先生は「Aくんは自分のことがなかなかできないから、Bさんに面倒を見てもらおう。CくんとDくんはいつもケンカをするから、一緒にできないし……」と夜遅くまで、ああでもないこうでもないと自分で考えて、それをクラスに提案し、子供たちの意見を少し聞き入れ、「これでいいですか !! 」「は〜い」とやっていたのです。だから、子供たちにも保護者にも班決めをするたびに不満が蓄積していました。

 それは当然のことです。意図があれば、それに対する反論は必ずあります。第一、誰もが納得のいく班決めなんてあり得ないからです。私が取り入れた班や座席の決め方は、すべて「くじで決める」やり方でした。子供たちや保護者には理由をこう説明します。「人生、誰と、どこで、どうなるかわかりません。だから座席はこれから1か月ごとにくじで決めます。大切なことは、席をどう決めるかということではなく、班で一緒になった人とどれだけ協力して、よい班をつくり上げるかです」。ということでだいたい決着がついたように思います。

 また、ある先生(日本教育新聞より)は、事前アンケートに「あなたにとって勉強がはかどる3人の友達」を書かせています。とのこと。これは対話を通して学習を促進する座席配置にするためです。互いに同程度の学力あるいは多少の学力差があったとしても、相互に交流が可能で、「勉強はかどる」「なるほど!と言いたくなる」子供同士が隣や前後に座るように配置します。ヴィゴッキーのZPD(発達の最近接領域)理論によれば、能力が同等の子供同士を近くに座らせることで、相互に支援し合う機会が増え、新たな見方・考え方や知識を獲得し、より高度な学習が促進される可能性があるとされています。(途中略)この事前アンケートにはもう一つの狙いがあります。それは、学級内のソシオメトリーとして活用し、子供一人一人の居場所を作ることです。(途中略)

 担任として席替えの方法の正解はないと思います。しかし、こうやって担任の先生と放課後の職員室の雑談で「席替えの方法」について話し合えることに感謝したいと思います。

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