学校日記

あきらめ終息? 2/27 334号

公開日
2023/02/27
更新日
2023/02/28

校長室

 地域など各種会合に参加していますといつも話題になるのは、「懇親会をいつ再開するのか」という点です。また、「パンデミックはいつ終わるのですか?」を口にされる方もいらっしゃいます。この問いに対して、日本医科大・長野保健医療大特任教授の北村義浩氏の見解を紹介します。(2/27富山新聞掲載)

 早ければ今年に、遅くとも2025年に「あきらめ終息」するでしょうとのこと。そもそも、パンデミックはどのようにして終わるのでしょうか。過去のパンデミックから、パンデミックには、3種類の終息パターンがあるとのこと。

 1番目は、病原体が消滅してしまう場合です。2003年に中国から流行が始まったSARSはこの好例です。どこに行ったのやら、SARSの原因となるコロナウイルスは今やどこにも見当たりません。

 2番目は、病原体が極めて弱毒化して症状も軽く致死率も低い病気になる衰弱化の場合です。有効で安全な治療薬が登場すれば事実上の衰弱化が達成できます。

 3番目は、集団免疫が獲得される場合です。市民の多くがその感染症に感染して生き残った者が免疫を保有する状態になる場合です。1918年のスペイン風邪(インフルエンザ1918)のパンデミックはこの事例に当たると考えられます。集団の6〜8割が免疫(有効な抗体)を持つ状態になれば終息と考えられます。

 今回の新型コロナウイルス感染症パンデミックでは、ウイルスの消滅や衰弱化も特効薬登場も短期的には起こらないように思われます。また、3番目の集団免疫による終息も、今の日本ではすぐには起こりそうもありません。

 厚労省が昨年11月26日から12月27日にかけて行った抗体保有調査によると、ワクチンまたは自然感染で抗体を得た者は97%以上と高率で、集団免疫が達成できそうなのですが、実はそうではありません。この抗体は現在流行中のオミクロン派生株に対して感染抑制効果が低いと考えられているからです。もう一方の自然感染だけで得られる抗体の保有率は30%にも満たないので集団免疫形成には低すぎます。

 これら想定される終息条件が見込めないからと言って終息しないわけではありません。「あきらめ終息」です。社会がパンデミック対策・流行対策を継続することに耐えられなくなった場合です。
 
 3年間のパンデミック期を経て今、日本は様々な原因で経済的に身体的に心理的に疲弊しきっています。流行抑制対策や経済応援対策を続けたいのはやまやまですが、継続できない状況に陥っていると言われるのです。今後もパンデミックが続くのもどうかと思いますが、「あきらめ終息」でいいのかなと心配にもなります。読者の皆さんはどのようにお考えになりますか。