筍の豊作の表年と不作の裏年?4/26 367号
- 公開日
- 2023/04/26
- 更新日
- 2023/04/26
校長室
先週の日曜日の朝に、母の実家が所有する竹林に筍の収穫に出かけました。筍は、冷凍して保存食にも出来るため、我が家では1年中、食卓に並んでいます。昨年は、5回ぐらい出かけて、計100kg収穫したでしょうか。我が家では食べ切れず、職場や親戚、知人に裾分けをしました。ところが、今年は全くといって穫れないのです。1時間余りへとへとになる位竹林を歩き回りましたが、収穫できたのが僅か6kgでした。この分は心待ちにしている県外の知人に、そのまま郵送しました。
筍は、どうして豊作の年と不作の年では、収穫量がこれだけ違うのでしょうか。インターネットで調べてみました。
一般的に、農作物はその年の天候が良いか悪いかで、豊作か不作かが決まるのですが、筍については天候とは関係なく、ほぼ1年ごとに豊作の「表年(おもてどし)」と不作の「裏年(うらどし)」が繰り返されています。
筍は、豊作年を「表年」といい、逆に不作年のことを「裏年」といいますが、何が原因で豊作不作が起きるのでしょうか。
林野庁の公式サイトに載っている「竹の性質」によれば、竹は3〜4年目の地下茎が最もたけのこを産み、5年目を過ぎると減少し、豊作(表年)と凶作(裏年)がおおむね隔年にあらわれ、たけのこの発生量に差が生じるとのことです。
これについては、竹の葉の新芽と落葉のサイクルが関係するという説もあります。新芽が光合成で作った糖は根に蓄えられ、多くのタケノコを成長させます。したがって、その年は豊作で「表年」になります。
ところが、それらの収穫後は、葉がさほど落ちず、新しい葉もあまり出ないので光合成もさほど行われず、根に蓄える糖も少なくなります。その結果、タケノコが少なくなるので、その年は不作で「裏年」になります。
最盛期の勢いがなくなると、波動砲やかめはめ波のようにエネルギーの放出と充填を交互に繰り返すというイメージです。ただ、ここで不思議なことに気がつきます。よく、テレビや新聞などで「金沢の筍、今年は表年!」とか報道されますが、どうして個々の筍の豊作や不作が同調するのかという疑問が起こります。
金沢の別々な場所で、別々の時期に植えられた竹なのです。個々のタケノコの隔年現象なら、結果はランダムというかバラバラですから「表年」も「裏年」もバラバラなので、竹林全体でも地方全体でも平均化され、安定した収穫が得られるはずです。それなのに、何故、「金沢の筍、今年は表年!」となるのでしょう?これは、「同調」という現象で、生理学的説明では説明できず、まだ明確に解明されていない現象の1つらしいです。
昔から美味しく食べている筍でさえ、まだ解明されていない現象をもっているなんて、この世は本当に不思議なことだらけですね。筍の「表年」と「裏年」の出荷量にはどれくらいの差があるのでしょうか?
金沢市の公式サイトによれば、平成24年度から平成29年度のタケノコの出荷量は次のようになっています。
平成24年度:866t
平成25年度:245t
平成26年度:692t
平成27年度:252t
平成28年度:626t
平成29年度:220t
筍農家さんとしては、毎年できるだけ安定した収穫を目指したいと思いますが、表年と裏年では2〜4倍の収穫量の差があるみたいです。時々、筍に白い粉が付いているのを見たことがありませんか?カビと間違える人もいますが、これは「チロシン」と呼ばれるアミノ酸で食べても無害です。
チロシンは時間が経つとアクの成分に変化しますので、たけのこを収穫したらすぐにお湯に通したほうがよいです。もし、時間が経ってしまったなら、下ゆでしてアク抜きをすればOKです。
今年も旬の筍を刺身や味噌汁、炊き込みご飯で賞味させていただいています。貴重な筍を十分味わって食べたいと思います。