午後12時と午前0時 no.708
- 公開日
- 2024/02/29
- 更新日
- 2024/02/29
校長室より
今日は2月29日
今年はうるう年です
オリンピックがあるから1年間366日と、いつもより1日多いうるう年なのではありません
暦を調整するためにあり、その理由を理解するには天文学の知識が必要です
中学校での学習内容で十分理解できるので、知らない人はぜひ調べてみてほしいです
とにもかくにも、2024年は366日あり、久しぶりに2月29日がある年です
※うるう年が、4年に一度必ずあるものではない事実も興味深いです
ここで問題です
うるう年の2月29日に生まれた人は、毎年の誕生日はどうなるのでしょう?
ほぼ4年に1度しか加齢しないのでしょうか?
いやいや、そんなことあるわけない、と、感覚的に思うのですが、本当でしょうか??
年齢に関しては、法律できっちりと決められています
その法律は明治25年法律50号です
↓ ※国立公文書館デジタルアーカイブより抜粋
明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)
年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
読みやすくするために現代風にするとこのようになります
年齢は出生の日より之を起算す
民法第143条の規定は年齢の計算に之を準用す
明治6年第36号布告は之を廃止す
この法律だけでは細かい部分が明確ではないので、そのあたりは民法で定められています
民法 ※e-Gov法令検索より抜粋
(期間の起算)
第百四十条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(暦による期間の計算)
第百四十三条
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
要は、年齢は暦に従って計算します(年齢計算ニ関スル法律第2項、民法143条準用(同条1項))
このとき出生の日の扱いが問題で、民法では「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」ものとしており、「ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」としています(民法140条)
また、年齢計算ニ関スル法律は、年齢は出生の日から起算するものとしています(年齢計算ニ関スル法律第1項)
そして、その期間は起算日応当日の前日に満了する(年齢計算ニ関スル法律第2項、民法143条準用(同条2項参照))となっています
ということで、年齢は生まれた日を0歳として、生まれた年の翌年以降、起算日にあたる日の前日が満了するたびに1歳ずつ加齢するということになります
少し文章を読み解く力が必要ですね(やはり国語の学習は大切なのです)
だから、1歳を加齢する時刻は誕生日前日が満了する「午後12時」(24時0分0秒)となります
「前日の午後12時0分0秒」と「当日の午前0時0分0秒」は、時刻としては同じですが、日が違っていることに留意してください
つまり、2月29日生まれの人は、毎年2月28日の午後12時に1歳、加齢することとなり、これが冒頭の問題の解答となります
法律はその文章が難解だと感じるのですが、様々なことについてのきまり事ですから、読んで理解することは大切だと思います
そうすることで、だまされたり、悲しい思いをすることは減らせるのではないかと感じます
といいつつ、難解だとの思いは変わらないのですが・・・
やはり、わたしは勉強不足です
まだまだ修行が足りません
2月29日生まれの知人がいます
以前その人に尋ねると、いつもは前日の28日に誕生を祝うと言っていました
中には3月1日に誕生を祝う人がいるとも聞きました
あなたの身近に2月29日生まれの方はおられませんか?
今年は29日にお祝いできます
※ ↓ 下写真は、国立公文書館デジタルアーカイブで見られる「明治25年法律50号」です