中庭

学校日記 school diary

問う no.661

公開日
2023/12/15
更新日
2023/12/15

校長室より

  • 701003.jpg
  • 701189.jpg

https://tonami.schoolweb.ne.jp/1620011/blog_img/8198045?tm=20240808123208

https://tonami.schoolweb.ne.jp/1620011/blog_img/8200035?tm=20240808123208

朝、校長室の前の掲示をじっと見つめる○○さん
「えらく、しっかり見てくれていますね?」
「はい、ためになることが書いてあるので」

まっすぐにそう答えることができる○○さんが素晴らしいと感じます
そして、見てくれていてありがとう

先日は校長室の中に、別の出中生が廊下の掲示を読み上げる声が聞こえました
「なせばなる なさねばならぬ、なにごとも ならぬはひとのなさぬなりけり」
「うえすぎ、・・・・、うえすぎ・・・・」
そして、去っていきました
むむむ、「鷹山」を読めなかったのね・・・
「ようざん」とふりがなをつけました

ただ、その横に掲示してある、「己所不欲 勿施於人也」は、解説つけません
冒頭の○○さんに、「これは読めますか?」と問うと、「うーん、分かりません」と答えてくれました
分からないことを素直に分からないというところも素晴らしい
「教えてください!」とはお願いされなかったので、「また、調べてみてください」ということにしました


午前中、2年生が家庭科の授業で調理実習をしていました
「今日は、何をつくっているのですか?」と尋ねると、□□さんが、「豚汁」ですと、答えてくれました
実習中に「家でも調理はするのですか?」と何人かに尋ねました
「時々やっています」「全然やっていません」いろいろな回答がありましたが、ねぎを切ったり、みそを溶かしたりする手つきはみんななかなか様になっていました


どうも、出中生が本気・根気・元気に学習等に取り組んでいる姿を見ると、いろいろ聞きたくなってしまいます
学習等の邪魔にならないだろうと判断したときは、想いのままに問うようにしています
「ああ、あの時、聞いておけばよかった」と思いたくないからです
だから、出中生のためにと来校されるお客様にもいろいろ尋ねてしまいます


中里介山 氏 著の「大菩薩峠」の新月の巻にこのような文章があります
「いま道庵が、聞くは末代の恥、聞かぬは一時の恥と言ったのは、たしかに比較が顛倒している。正しくは、聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥——と言わねばならないところを、顛倒してしまっているのだから、せっかくの格言俚諺が全然意味を逆転せしめてしまっている。」

そうなのです、「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」なのです

誰が最初にこの言葉を言ったのかをわたしは知らないのですが、似た言葉はいろいろあります
例えば、千利休の言葉
「恥を捨て人に物とひ習ふべし 是ぞ上手の基なりにける」

英語でもこのような文章があります
○Better to ask the way than go astray.
(道に迷うより道を尋ねる方がよい)
○Asking makes one appear foolish, but not asking makes one foolish indeed.
(尋ねると愚か者に見えるが、尋ねなければ本当の愚か者になる)
○Ask much, know much.
(おおいに聞いて、おおいに知れ)

人間の考えることは同じということでしょうか
興味深いものです

出中生のみんなも、どんどんおとなを利用すればよいです
ただ、未来の自分のためになる上手な質問の仕方があります

ひとつは、「自分で一旦調べてから質問する」
質問の仕方が分からないなら、まずは質問してみるはありです
その次の段階が、「調べて疑問に思ったことを質問する」です

質問A「問題集のこの問題のここが分からなかったので、もう一度確認してから、再チャレンジしたけれど、この部分が分かりません。教えてください。」
質問B「問題集のこの問題を教えてください。」
このふたつの質問の仕方の積み重ねは大きな違いとなるでしょう
また、相手が教師やおとなでなく生成AIに対する質問であったとしても、その回答は違ってくるでしょう
生成AIに質問する際も、丁寧に具体的に問うと、回答の質が上がるという研究成果もあります

さあ、あなたは疑問を問うていますか?
周りの誰かに助けを求めることができていますか?
本気・根気・元気なあなたを、多くの人が助けてくれるでしょう