道徳科(どうとくか)no.658
- 公開日
- 2023/12/12
- 更新日
- 2023/12/12
校長室より
「ああ、明日(今日)は、道徳かぁ・・・」
ダジャレではありません
生徒のみならず、指導者が冒頭のような想いで道徳科(※正式には「特別の教科 道徳」)の授業に臨むのであれば、悲しいことです(※ただ、その気持ちは理解できます 若い頃のわたしがそうだったので)
「お!明日(今日)は道徳だ!」と、授業に臨むことが理想ですが、・・・
大学で履修する教職の過程で、道徳に関する単位は2単位と少ないこともその要因でしょうか
今日の午後に、第3学年の学級で新規採用者が「道徳科」の研究授業を行いました
「道徳科」という言葉は、一般の方には耳慣れないかもしれません
もともとは「道徳の時間」と学校現場では呼ばれていました
学校での学習内容等について定めている学習指導要領が、2015年に一部改訂され、その名称が「特別の教科「道徳」(略して道徳科)」となります
中学校では2019年度に全面実施となり、他教科のような数値での評価はなじまないとして、「特別の教科」となっています
もともと1958年にスタートした道徳の時間には教科書がなく、検定を受けない副読本や教師自作の資料等を使っての授業でした
このような授業の在り方について議論はされてきましたが、教科外として実施する方針は長く変わりませんでした
2013年の国の教育再生実行会議が、深刻化するいじめ問題に対する提言として道徳教育の充実を求めます
このことから文部科学省の有識者会議は教科化へと舵を切りはじめます
道徳の時間には評価がないことで軽視され、他の教科に振り替えられることがしばしばあった学校現場の実態や、教師の道徳教育に対する理解不足、なかなか効果的な指導方法が確立されていなかったことも一因とされています
「特別の教科 道徳」となりましたが、その目標は変わりません
中学校学習指導要領(平成 29 年告示)「特別の教科 道徳」
第2節 道徳科の目標
第1章総則の第1の2の (2) に示す道徳教育の目標に基づき、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ,物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる
解説には、「道徳科が目指すものは、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の目標と同様によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことである。その中で、道徳科が学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の要としての役割を果たす・・・」と、明記されています
道徳科は道徳教育の要であり、生徒の道徳性を養うことを目指します
言い換えれば、心を育てます
その心は生徒たちがこの激動の時代を生きていくうえでの基盤となります
日本で凶悪犯罪などが起こるようになり、また格差社会の歪みの深刻さが増しています
そして、不寛容の時代になったとも言われます
こういった複雑で多くの課題を解決する鍵が、道徳教育の中にあるとわたしは信じています
何より、生きていくうえでの基盤として大切にしなければならないものがそこにあると、わたしは考えているからです
心は直接目で見ることはできません
教育の効果がすぐに表れるものでもありません
その時間に出会った課題に対して、自分事として深く考え、他の価値観に触れた時、確実に心に成長の種がまかれると思っています
今日の研究授業でも、そんな場面が見られました
出中生の可能性と、未来を感じられる瞬間です
教師の方はその職を辞するまで、日々研鑽ですね
脱皮しない蛇は滅びる・・・
道徳科の授業は、面白いのですよ
生徒と共に教師も人間の生き方を考えるのです
そこには人それぞれの価値観があり、人それぞれの人生があります
どのような人生を歩むのかを決めるときに、自分の誠の心に問うことが重要だとわたしは思っています
中学生も既にそのような歳なのではないかとわたしは思っています