中庭

学校日記 school diary

慣れ、馴れ、狎れ、熟れ・・・ no.563

公開日
2023/07/19
更新日
2023/07/19

校長室より

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朝出勤して校長室の窓と、廊下側の戸を開放する
いつもならさっと風が通り抜けるが、今朝は空気がどんよりと動かない
書類に目を通したり、朝の会の前の教室や生徒会室をのぞいたりして校長室へ戻り、1限が始まる頃に、校長室のエアコンのスイッチをオン!
あらためて、公務のデスクワークに励むも、暑い
蒸し暑い
なぜ??
エアコンの制御盤を見ると、エラーメッセージが・・・

結局、業者に連絡し、来校していただくことに
校長室のみでなく、職員室、印刷室、事務室のエアコンが使えない状態です
生徒たちのいる教室関係に影響がなかったことが何より

1限が終わる頃に雨が降り始め、少し涼しく感じます
窓からは焼けたアスファルトやコンクリートが雨で冷やされた独特のにおいが流れ込み、条件反射として、このにおいも涼しさを感じさせているように思います

そこでふと思ったことが「なれ」です

中学校の教師として部活動の顧問は当たり前のようにやってきました
新採のときに競技経験のないソフトテニス(当時は軟式テニス)から始まり、バドミントン、剣道の顧問をさせてもらいました
競技経験がない部活動顧問のときは、当時の部員に教えてもらったり、競技経験者の知人に練習を付き合ったもらったりもしました
分からないまま、悩みながら、そのとき自分のできることをやってきた感じです
その中で、ソフトテニスの顧問歴が一番長く、20年弱になりますが、夏のテニスコートは軽く摂氏30度を超えます
摂氏40度を超えていることもよくあり、そこにずっといるわけですから、身体がある程度その暑さに慣れていたように思います
すぐに汗をかきましたし、すぐに皮膚が黒くなりました
※冬でも日焼けの跡が残っている感じでした
だからか、多少の暑さでも、周りの人が暑い暑いと言っていても、それほどしんどくなかったです

それが今は、エアコンが使えないと、ものすごく暑く感じ、ぐったりします
身体が暑さに慣れていないと自覚するのです
家でもエアコンを使い、移動の車の中でもエアコンを使い、エアコンなしでは困る状況になっています
熱中症対策の観点で言えば、エアコンの使用は大切であり、命を守ることが最優先なのですが、これでよいのかと思う部分もあります

先日、全校生徒がエアコンの効いた教室で、会議室から繋いだオンライン講演会に参加しました
※3年生の1学級は直接会議室で講演を拝聴しました
内容は、「子どものネット依存」についてでした
富山大学疫学健康政策学 准教授の山田 正明 先生に来校いただき、お話していただきましたが、とても興味深く大切なお話でした

ネット依存も、エアコンの使用も、どこかでつながっているように感じます
それは、本来人間のもっている能力を衰えさせるのではないかということです

決して「暑さを我慢しなさい」とか、「ネットの使用禁止」と言っているわけではありません
何事にも通じますが、「過ぎる」ことには留意しなければと思います

生物は環境に適応しようとします
人間の身体もそうです
スポーツ選手が心肺機能を高めるために高所トレーニングをすることもその例です
中学生が繰り返し同じプレーを練習したり、身体に負荷を与えるトレーニングをすることもその例です
しんどい時に、仲間の力を借りてもうひと踏ん張りする経験もその例でしょう

負荷があることで、それに負けない身体や心になる
負荷がなければ、そもそも耐える力は必要ないので、そのような身体や心になる
負荷の量や質が「過ぎる」ようでは逆に身体や心が壊れることがあることも事実ですから、そこは気をつけなければなりません

無酸素登山家の小西 浩文 氏
15歳で登山を始め、1997年に日本人最多となる「8,000m峰6座無酸素登頂」を記録します
20代後半から30代前半にかけて3度のがん手術を経験しながらも、がん手術の合間に2座の8,000m峰、ブロード・ピークとガッシャーブルマ2峰の無酸素登頂は人類初となる快挙でした
そんな彼の、若者に伝えたいとした言葉があります

人生に困難はつきもの
そして困難を正面から突破するには、若い間に心と体を鍛え上げる他ない
歳を重ねるほど、生命力・免疫力は落ちてゆき、病気などの命の危機に瀕するリスクも必然的に高くなる
その際に耐えうる実力が養われていなければ、ポキッと心が折れてしまい、衰退の一途を辿ることになりかねない
若い間に人生の困難を突破できる「心」と「体」を鍛え抜くことが、人生の羅針盤になる
そして実力を養うには、不可能と言われる目標を掲げ、必達に向けて一生懸命励むことが肝要
自分の限界を見据えて立てた目標では、自力は身に付かない
若い間はその後の人生の礎を築く時期であり、失敗が許される特権をもっている
たとえ躓いても、自分が秘める可能性を信じ、夢や目標に全力で挑み続けてほしいと切に願う
人生は死ぬまで修養、死んでも修養


とても共感する言葉です
特に、「失敗が許される特権をもっている」は、教師になりたての頃、先輩教師から新米教師であるわたしに送られた言葉と同じです

ただ、最近思うのは、失敗を恐れず、新たなことにチャレンジすることに歳は関係ないということです

脱皮しない蛇は死ぬ

挑戦をやめた瞬間に、教師として、終わっているのかもしれません


※10:40現在
窓や戸を開放している1階の職員室内の状況
周囲温度 摂氏29.2度
湿度   85.0%
WBGT(暑さ指数) 27.7 警戒

ただいま現在、まだエアコンは直りません