中庭

学校日記 school diary

その差 no.332

公開日
2022/08/01
更新日
2022/08/01

校長室より

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この土日に合唱部が「第4回とやま世界こども舞台芸術祭(PAT2022)」に出演したり、吹奏楽部が中部日本吹奏楽コンクール県大会に出演したりと、夏休み中も出中生は様々な場所で精力的に活動を続けています

所用で土曜日の合唱部の活躍ぶりを直接観ることはできなかったのですが、日曜日は県代表の座を狙う吹奏楽部の演奏を鑑賞することができました

順番は出場中学校8校の6番目
休憩を挟んで2校目の演奏でした

8校全ての演奏が終わり、審査員の先生方がどのように判断されるか分からない内容でした
どの学校も音のよさや、曲の理解の深さ等、素人のわたしでも感じられるものでした
ただ、もしかしたら身内贔屓かもしれませんが、唯一心が震え、なぜか涙がこみ上げたのは、出町中学校の演奏だけでした

結果は昨日のホームページに既に掲載したとおり、本校はゴールド・金賞でしたが、目標としていた県代表には届きませんでした

会場を後にする際、何人かの吹奏楽部員に会いました
慰労の声をかけた時、○○さんの表情がとても複雑だったことが強く印象に残りました
悔しさが伝わりました
「県代表として挑む北陸吹奏楽コンクールに向けて気持ちを切り替えてください」と、伝えると少し表情が和らいだ気がしました
この経験も、みんななら未来にいかすことができます

それにしても、同じゴールド・金賞で、県代表と代表ではない演奏の「差」は何でしょう?
わたしの心を動かした演奏は、他の人の心を動かせなかったと言うことなのか
心の動かすという曖昧な基準では選べないのか
演奏途中で少し気になった箇所がその「差」となったのか
・・・・・

自分が部活動の顧問をしていた頃、この「差」については悩み続けました
(※結局、答えは見付けられず、また、校長としても、何事においても「差」を感じ続け、悩み続けていますが・・・)

どの部活動を担当した時でも、一番に感じたことは、「自分が顧問でなければ勝てたのではないか・・・」です
そして、その「差」を埋めるためにやったことは、「人の力を借りる」ことでした
北信越大会で勝つことを意識した時は、県外の中学校とよく試合をしました
全国大会で勝つことを意識した時は、富山県内で強豪校の高校の顧問にお願いし、一緒に練習させてもらったこともあります
自分が出会った卒業生で、元実業団選手に生徒の指導を頼んだこともあります
そう言えば、内容はずれますが全国大会や北信越大会に出場した時、当日の練習場所を確保するために、ネット検索や衛星写真(航空写真)で体育施設を探したり、気になる場所があれば突然の直接電話で前日や朝の練習場所をお願いしたこともありましたな

しかし、最後まで「差」を埋められたことはありませんでした
県で優勝できたときも、それはさすがにうれしいのですが「差」が埋まった感覚ではなく、「たまたま」な感覚でした(※生徒のおかげ、保護者のおかげ、関わっていただいた多くの人のおかげ)

今のわたしが思っていること
多くの時間を使って準備を進め、勝敗を決するのはほんの一瞬です
準備のために単に時間をかければよいというものではなく、何をしてきたのかが「差」を縮めることかなということです

大リーグで活躍する大谷翔平選手は、グラウンドに落ちているゴミをさりげなく拾ったり、対戦相手の選手に対する振る舞いが紳士的であったりと、アメリカの人々からもその誠実さからよい印象で認めらています
以前のインタビューで、彼が「日常の些細な『よい振る舞い』が勝負を左右する気がするから」と言っていたように記憶しています

そうなのです
あとわずかの勝利を逃す時、その勝負とは関係のないような日常の過ごし方も影響しているように感じるのです
感謝の気持ちを忘れない
礼儀正しくする
道具を大切に扱う
相手をリスペクトする
・・・・・

意識することでその「差」は縮まりますが、どこまでも「差」はなくならないのかな、とも今は感じています
これは決して「なくならない」とあきらめの境地ではなく、「なくならない」としても、その「差」を縮める生き方を、死ぬまで続けることが大切だと、今のわたしは思っています
それが、よりよく生きる、よりよい未来につながると考えるからです