チーム no.304
- 公開日
- 2022/06/21
- 更新日
- 2022/06/21
校長室より
6/18-19は砺波地区中学校総合選手権大会中心会期でした
各会場では多くの出中生が勝利を目指して、それぞれのもてる力を振り絞りました
勝負ですから今大会での勝敗はあります
ただ、勝利が全てよく、負けが全て悪いことはありません
勝利でも負けでも、未来へどのようにつなげるかが大切だと思うのです
人生は続くのです
今大会である者は個人で、ある者は団体で、それぞれの勝負に望みましたが、過日の壮行会が示すように、出町中学校という大きなチームの一員として参加するからこそ、発揮できた力があります
砺波地区写生会も同様です
一人一人が作品作りに没頭しますが、ここでも出町中学校というチームの一員であるからこそ、思いがけない能力が導き出されている部分があります
チームの力、集団の力は不思議なのです
プロ選手やオリンピック・パラリンピック選手が応援してくれる人に感謝の気持ちを示すのもこれに通じることと思います
競技者と応援者もある意味チームです
アメリカ合衆国の主要なIT企業であり、 ビッグ・テックのひとつであるGoogleで、2012年に「最高のチームとは何か」を探る研究チームが編成されています(※「Project Aristotle」)
今までは個人パフォーマンスを重要視し、どのように能力の高い人間を採用するか、養成するかを主眼に置いていたようですが、ここ最近はチームとしての能力・パフォーマンスを重視するようになったためだそうです
それは、この先どうなるか分からないような課題に直面することが多くなり、それに対応する企業としての力が必要とされるようになったからでしょう
この研究チームが出した結論は、「優れたチームのパターン化は不可能」ということでした
「よいチーム」と評価したチームの間に、共通点やパターンがまったくなかったのです
ただし、社会学や心理学で言われる「集団規範 (Group Norms) 」は大切だと考えました
「集団規範」とは、明文化されていないけれども共有されている「チームとしての行動規準・判断規準」です(※「規則」ではなく、自発的なものであり、強制的でなものではありません)
これについても、「よいチーム」と評価したチームの集団規範はバラバラだったのですが、「特定の集団規範をすべてのチームに応用しないこと」「それぞれのチームがメンバーを理解して適切な集団規範を設けること」が重要であるとしています
これは2008年のカーネギー・メロン大学における研究「適切な集団規範はなぜ大切か?」とつながっていると感じます
適切な集団規範があれば、「(1)それぞれのメンバーの意見がチーム意見に反映されること」、「(2)チームとして質の高い答えを出しやすくなること」が確認され、「よいチーム」には、「個人の意見よりも、チームとしての意見を優先させる」共通点が見い出されています
そして何より、「適切な集団規範があったら、集団的知性は個人的知性よりも高くなる」としています
能力の高い個人がいる集団より、適切な集団規範のある集団の方が総合的な能力が高いということです
昔から、団結力とか、チームの力とか漠然と言われていたことが、研究によって根拠をもって証明された形です(※これについてもいろいろな意見・考えはあります)
そして、よいチームの基盤には「心理的安心感」があることを指摘しています
例えば、メンバー全員に話す機会が均等にあるとか、メンバーがお互いの気持ちを敏感に察することができるという環境です
・リスクを取るような行動を取っても咎められることがない → チャレンジできる
・どんなアイディアを出しても恥ずかしい思いをしない → チャレンジできる
・「理解していないことを悟られないように黙っていよう」と思わなくなる → チャレンジできる
・チームの中で自分らしくいてよいと思える → チャレンジできる
この環境で得られるのは、「このチームなら、安心して過ごせる」という心理的安心感です
その中で思いっきりチャレンジできるのですから、それぞれがよりよい成長をとげられるのです
これは、会社だけでなく学校、家庭、地域など、大人も子供も関係ないのではないでしょうか
我々人間は、集団の中で生きるのです
大人も子供も、課題にぶつかったとき、その状況をただ嘆き、文句を言っているだけでは、環境を悪化させるだけで、本人にとっても誰にとってもメリットは何もありません
ただただ、今の集団の中で、そして今の状況で、自分ができることは何なのかを考え、行動することが期待されているのです
がんばろう!出町中学校!!