第215号 勝負の世界
- 公開日
- 2022/02/07
- 更新日
- 2022/02/08
校長室より
朝、全国中学校体育大会第59回全国中学校スキー大会 男子スラローム競技に出場した3年生の○○さんが、校長室を訪ねてくれました
今回の大会の感想を尋ねると、「1本目はまずまずの位置に付けたが、2本目は失敗して、悔しい気持ちです」と答えてくれました
2本目は攻める気持ちで滑り、ライン取りを失敗したと自己分析しているとのこと
2本目で旗門をまたいでしまい(旗門不通過)、一端戻って滑り直したことで大幅なタイムロスとなったと聞きました
わたしは、最後までこのレースを諦めず、2本滑りきって記録を残したその気持ちが、今後の国民体育大会や、来シーズンの滑りにつながると思います
どの勝負の世界も厳しい・・・
厳しいと言えば昨日行われた、オリンピックのフリースタイルスキー女子モーグル
オリンピック初出場の川村あんり選手は5位でした
報道の見出しには「5位に終わった」と、表現するものが多く見られます
それは彼女への期待に比例していると思いますが、・・・
今シーズンのワールドカップでの彼女の成績は次の通りです
・2021.12.4 ルカ(フィンランド大会)9位
・2021.12.11-12 イードレッヒャール(スウェーデン大会)優勝
・2021.12.16-17 アルプ・デュエズ(フランス大会)2位
・2022.1.7-8 トランプラン(カナダ大会)1戦目 優勝、2戦目 3位
・2022.1.13-14 ディアバレー(アメリカ大会)1戦目 2位、2戦目 優勝
3勝を挙げて優勝候補として臨んだ昨日のオリンピックで、結果は5位
銅メダルの3位アナスタシア・スミルノワ(ROC)に0.6点差です
※4位のフランス人選手も、今シーズン3勝しています
厳しい・・・
「ここまで支えてくれた人たちに感謝しかない」
「金候補とかメダル候補と挙げていただいて、メダルを取れなかった」
「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんですが、ここまで本当に頑張ってきましたし、諦めない姿が、皆さんに伝わればいいなと思っています」
と、語る川村選手のインタビューをテレビで観ていて、2010年バンクーバーオリンピックでの上村愛子選手と、その姿が重なりました
1998年、18歳の上村選手は、地元開催の長野オリンピック女子モーグルに初出場し、7位入賞の好成績を残します
※この大会、里谷多英選手が金メダルを獲りました
2002年、ソルトレークシティオリンピックに連続出場
予選では日本女子トップの4位で通過し、メダル獲得が期待されましたが、わずかにエアの着地が乱れ、6位
2006年、トリノオリンピックに3連続出場
大会前に膝を負傷しながらも、大技エア「コークスクリュー」を成功させたにも関わらず5位
3大会連続入賞を果たすもののメダルを逃し、インタビューでは悔し涙を浮かべながら、「一体どうすればオリンピックの表彰台に乗れるのかが・・・謎です・・・」と語った姿が印象的でした
そして、2010年のバンクーバーオリンピック
自身のオリンピック最高成績となる4位入賞を果たし4大会連続入賞を達成しますが、こここでもメダル獲得なりません
競技終了後のインタビューで、全力を出し切ったことに対する満足感を語りながらも、「何で、こんなに一段一段なんだろう、と思いましたけど・・・」と笑顔で涙を流します
生放送を観ながら、わたしは号泣しました
長期休養を経て2014年のソチオリンピックに出場
最後の6人によるメダルを賭けての決勝3回目で、1番スタートながらベストパフォーマンスを見せ、残り3人まで1位
しかし、最後の3人に抜かれて、前回と同じ4位となります
5大会連続入賞という快挙ですが、悲願だったメダル獲得には惜しくも届かなかったわけです
競技後のインタビューで彼女はこう答えます
「決勝ではメダルが獲れなかったけど、とても清々しい気分です」
「3本共に全力で滑れたことで、点数も見ずに泣いてました」
「最高の滑りをしたら獲れるかもという所まで来れたのが、凄く嬉しい」
「今回のオリンピックは良い想い出で終われるんじゃないかと」
「メダルは無いんですけどね」
「そこは申し訳ないとしか言いようがないんですけど、頑張ってよかったなぁと思っています」
また、テレビを観ながら泣きました
話は戻り、昨日の川村あんり選手
メダルを逃して涙を流していた彼女でした(写真下左)が、インタビュー・ゾーンへ着く寸前に、きりりとした表情に切り替えたその姿
そして、インタビューの最後に「寒い中、ありがとうございました」と、さりげなく報道陣に伝えるその姿
世界のトップで戦う17歳のすごさを目の当たりにしました
また、応援したい人が増えました
このシーン、出中生で観た人はいるかな?
ぜひ、感じたことを聞きたいものです