第76号 頑張らない ≠ 頑張れない
- 公開日
- 2021/07/06
- 更新日
- 2021/07/06
校長室より
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、学年毎に実施日をずらして行った避難訓練。
文化体育後援会会長 瘧師富士夫 様をお迎えして行った、県選手権大会、県民体育大会、全日本中学校通信陸上競技大会富山大会へ出場する選手の壮行会。
目的の違うふたつのことのどちらにも、生徒たちは本気で取り組んでいました。
このような生徒の姿を見ると、「自分も頑張ろう!」と感じます。
不思議なものです。
「本気」・「根気」・「元気」を今年度のキーワードとして発信していますが、この基盤は安全・安心です。
避難訓練で言えば、「もしもの時に備える環境があるから、安全で安心できる」。
壮行会で言えば、「仲間が応援してくれたり、大会運営を支えてくれる人の存在を感じ、安全で安心できる環境を実感できるから、自分の目指すところに向けて努力ができる」。
安心・安全は学校教育を支える基盤です。
「やればできる」「がんばる人を応援する」「みんなちがってみんないい」・・・
よく耳にする言葉ですし、わたしも発することがあります。
ただし、この言葉によって、学校が安心・安全な環境ではなくなる場合があります。
それは、「頑張れない人」が存在するからであり、学校関係者として意識する必要があることです。
「頑張れない子供たち」が安心できる安全な環境とは、具体的にどのようなものかは、我々にとって悩ましい話です。
今年の4月20日に初版が発行された書籍、新潮新書「どうしても頑張れないひとたち(宮口孝治 著 新潮社)」は、そのことを改めて考えさせてくれます。
この本の第4章の「見出し」、「小見出し」を紹介します。
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第4章 やる気を奪う言葉と間違った方法
やる気を奪う大人
余計な言葉かけ
「もっと勉強しなさい」がダメなわけ
「でもな・・・」「それは君にも・・・」
非行少年の保護者の語りに共通するもの
「もっとできるはずだ」
「だから言った通りでしょ」
「どうしていつもあなたは・・・」
勉強が好きになれば勉強ができるようになるという思い込み
保護者が先生の不満を言うと
後のフォローがない指導もどき
場違いな褒め言葉
”親の愛情不足では”という言葉の凶器
愛情のない励まし
自尊心は衰えない
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「頑張れない生徒」に対して「頑張れ」と言い続けても効果は望めません。
悪影響と言っても過言ではないでしょう。
教師生活の中で、それは経験しています。
また、これは決して「頑張ることの否定」ではありません。
世の中、頑張って生きなければならない場面がたくさんあることを体験しています。
では、「頑張れない生徒」をどうするか。
・生徒はみんな「少しでもよくなりたい」と自身の成長を願っていること、
・そして成長するための力をもっていること
これらを、まわりの大人が信じることが教育の基盤だと思います。
わたし自身も頑張ることが苦手な子供で、今までに多くの人に支えられたことを告白します。※今もですが・・・
そのときのわたしが、安心できていた理由や、何を安全だと感じられていたのか。
それが、「頑張れない生徒」に向き合うヒントだと考えます。
「頑張らない生徒」に対しても・・・