第73号 行為の意味
- 公開日
- 2021/07/01
- 更新日
- 2021/07/01
校長室より
昨日、学校を回っていると、階段の上の壁にほこりが付いていることに気付き、長いほうきを持ちだして落としてみました。
生徒の通行の邪魔にならないようにと時間を考えたつもりが、水曜日は生徒会活動のある日で午後の時間は10分早く進んでいて、ちょうど授業が終わる時間と少し重なってしまいました。
あまり目にしないほど長いほうきをもっているので声をかけてくれる生徒がいます。
「おお、長いほうきですね」、「すごい!きれいになってます」、「わたしは上を見ないので気付きません」など、いろいろです。
授業を担当していないわたしにとって、短いながらも生徒と話ができることはうれしいことです。
落としたほこりを集めて、ほうきを片付けようと思っていたら、○○さんが「校長先生!」と、まっすぐな表情で話しかけてきました。
そのまっすぐさに、「ぎくっ!」としたわたしに、○○さんが「少し前のことですが、○○○○にわざわざお越しいただきありがとうございました」と言ってくれました。
思いもかけない言葉だったので、びっくりすると同時に、ずっと気にかけてくれていたのだなと、その心遣いがとてもうれしかったです。
「いやいや、こちらこそ楽しませもらいましたから、ありがとうございました」と答えるのが精一杯でした。
その自然で何気ない言動が、最近いろいろと思い悩んでいたわたしの心をすっと救ってくれました。
生徒たちの言動には、意味があります。
本人がそれを自覚しているかどうかは関係ありません。
これは生徒だけでなく、おとなも同じです。
詩人・作詞家として活躍した宮澤章二氏の作品に、「行為の意味」という詩があります。
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「行為の意味」 宮澤 章二
あなたの心はどんな形ですかと
人に聞かれても答えようがない
自分にも 他人にも心は見えない
けれどほんとうに見えないのであろうか
確かに心はだれにも見えないけれど
心づかいは見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だから
同じように胸の中の思いは見えないけれど
思いやりは見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為なのだから
あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
「心」も「思い」も、初めて美しく生きる
それは 人が人として生きることだ
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人が人として生きる。
考えさせられる言葉です。
わたしは人生の中で起こることには意味があると思っています。
それがうれしいことであっても、
嫌なことであっても、
楽しいことであっても、
困ったことであっても・・・。
人生に意味のないことは起きないという考えです。
自分のできることを、ただただやるだけです。
自分でやろうと決めたことを、粛々とやるだけです。
そうすれば、道は拓けてくると思っています。
この瞬間を本気で根気よく元気に生き切る。
今は、それが大切だと思います。
○○さんの言葉で、今日もいろいろ学ばせてもらいました。
ありがとう。
今朝、校長室の花がルドベキアに変わりました。
その鮮やかさと、ぱっと開いた様子が、昨日の○○さんの笑顔と重なりました。