第68号 ホンモノ
- 公開日
- 2021/06/25
- 更新日
- 2021/06/25
校長室より
本校には卒業記念品として贈っていただいた、多くの「本物」があります。
上の写真はその一部です。
林 清納 様や、尾山 章 様の作品が、学校を回っているときに自然に目に飛び込んできて、ググッと引き込まれます。
出中生のみなさんなら、どこに設置されているか、イメージできますね。
これらは「本物」の力を持っています。
迫力といってもよいかもしれません。
さて、「本物」と「偽物」との違いは何でしょう。
二つはよく似ています。
違っていたら「別物」ですし、「偽物」の存在意義はなくなります。
美術の世界に「贋作」と呼ばれる「偽物」の作品があります。
「レプリカ」と呼ぶと、何だか悪い印象が薄まります。
「レプリカ」はそれがコピー作品だと知って、見ることが前提だからかもしれません。
「贋作」というと、「本物」と思わせている、つまりだましている印象を受けるからでしょうか。
「なんでも○○団」というテレビ番組が成立するのは、この世の中、「偽物」が多いからでしょうか。
だまされないために、あるいは、間違えないために、「本物」と「偽物」を見分けるにはどうすればよいでしょう。
シンプルに考えれば、「本物」を知らないと、「偽物」を見分けることはできません。
だから、「本物」に触れる機会が多いということは、「偽物」にだまされないことになります。
多くの「ホンモノ」に触れることは自分の人生にとってもよいことだと思います。
「偽」とは、「イ(にんべん)に為なす」と書きます。
「人間のすることは偽物だ」という意味があるそうですが、人間が作り出した美術作品が、「人間のすることだから偽物だ!」とは思いません。
確かに、自然を描いた作品は自然そのものではないのである意味自然の偽物ですが、作者の心のフィルターを通して描かれた「本物」だと思います。
その作品を、他の人がコピーすれば「偽物」です。
本物には作者の魂がこもっており、偽物には別の思惑しかありません。
本物には作者の表現したい理念があり、偽物にはただ本物に似せるという表面的なものしかありません。
目指すところが違います。
ふと、日々我々の取り組んでいる教育は「本物」になっているのかと考えます。
ただ、体裁を気にするだけの「偽物」になってはいないだろうなと考えます。
学校も、保護者のみなさんや地域のみなさんも、本気で子供たちの未来(将来)を展望し、その成長を支える本気の想いが「本物」の教育を生み出すでしょう。
何だか、偉そうなことを書いていますが、たいそうなことではなく、日々目の前の生徒と向き合う際の心持ちは、そうありたいと思っているという話です。
そして、出町中学校がそのような学校であるようにと、考える毎日です。