地域が支えれば、鉄道が地域を支える!? 1/23 311号
- 公開日
- 2023/01/23
- 更新日
- 2023/01/23
校長室
ローカル線など経営難に苦しむ地域公共交通を支える財源として、滋賀県の三日月大造知事が唱える「交通税」が注目を集めています。三日月氏は、政治家転身前はJR西日本に勤め、運転士も経験しておられます。全国の鉄道は「あくまで民間事業」との考え方から公費支援が不十分という指摘があり、今後の議論に一石を投じそうです。
交通税は富山県議会でも話題に上っています。昨年9月の地方創生産業委員会で、県議会議長の渡辺守人氏が交通税を取り上げ「安定財源についての議論も進めてはいいのではないか」と提案されたそうです。渡辺氏は仏ナント市、米ポートランド市のライトレールが都市交通税で一部経費を賄っていると紹介。富山県が森林保全のため、県民から年間500円の個人負担額を徴収する「水と緑の森づくり税」を創設したことに触れ、「県民全体で公共交通を守ろうという機運が醸成されれば、同様の地方税を創設できる」と指摘しておられます。
名古屋大学の加藤博和教授は次のようにコメントしておられます。利用が落ち込む責任をJR等の事業者に押し付けたり、廃線を警戒して寝たふりをしたりすることは違う。鉄道の伸びしろを見極め、残すと決めたなら、徹底的に手を打つ。鉄道は大事と言いながら人任せにしていては、地域そのものが衰えていくようにしか見えない。地域が一体となって支えれば、鉄道が地域を支えてくれる。利用者は乗って支え、事業者はそれに応えるという信頼関係が重要。対等に鉄道を守る意識を共有すべきだ。(途中略)
私は、この加藤氏のコメントが力強く心に響きました。個人的な見解を言わせていただくなら、地域が鉄道を支えることに大賛成です。自家用車利用者に納入が義務付けられている自賠責保険(強制保険)の掛け金が引き下げられるそうです。理由は、最近の車は安全装置が普及し、事故の件数が減少したからです。また自動車税(県民税)の納付(回収)率が低いとも聞きます。新たな地方税を新設することも大切だと思いますが、上述の資金の一部を転用できないかと思っています。読者の皆さんは、どのようにお考えでしょうか。