学校日記

教頭先生プロ野球球団職員になる?!  9月16日 第241号

公開日
2022/09/16
更新日
2022/09/16

校長室

 雑誌から気になる記事を見つけました。佐賀県伊万里高校のA教頭先生が58歳の2学期から広島東洋カープの球団職員に転職されました。定年後は何か新しいことに挑戦してみたいと考えておられたようです。生徒たちには、自分の夢を追いかけるために教頭を辞めることを正直に打ち明け、謝罪のような挨拶をされたそうです。
 転職しようか迷っているA教頭先生の背中を押してくれた2つの出来事があったそうです。
 1つは、東日本大震災の直後に、県派遣の支援活動として10日間気仙沼市の避難所で過ごした経験だそうです。A先生が教員だと聞いた子供たちが、「勉強したい」「勉強を教えてほしい」と毎日毎晩A先生を取り囲んだそうです。自らの生活の立て直しに不安を抱えながらも、「復興のために役に立ちたい」と前に進もうとする大人の姿にも涙が溢れる思いだったそうです。このとき、人間は誰しも、「学びたい」「誰かの役に立ちたい」という気持ちを持っていることを実感したそうです。
 2つ目は、震災から3年後、東北のプロ野球球団「楽天イーグルス」が優勝したことだそうです。たかが、プロ野球の優勝という人もいるかもしれません。しかし、東北の人たちは、「3年頑張ったら神様がご褒美をくれた」「有難う」と口を揃えて言ったそうです。私もテレビでこの歓喜を見ていたのを今でも記憶しています。プロ野球が、逆境の中に生きる人々の生きる力になっているということも転職をためらうA先生の背中を押したそうです。
 「対象は生徒ではなく選手やその先にあるファンということになりますが、裏方として選手や球団の成長を支えたい」という熱い思いで、選手の様々なデータを集約解析してチームの戦力アップを図る情報処理部に所属しておられます。
 球団にとっても、元教員の採用は史上初。還暦を迎えられるルーキーは、シーズン真っ只中だそうです。「どうしてこの年齢で、ここまで夢を追いかけられるのだろう。こんなエネルギーは何処から出てくるのだろう?」とただ感心する私でした。

みんながわくわくする学校を「自分から」