学校日記

ドブ川に蛍を飛ばす!  2/14 523号

公開日
2024/02/14
更新日
2024/02/14

校長室

 日本教育新聞2月12日号に、元広島県公立小学校長 津田 秀司氏の興味深い記事が載っていたので紹介します。

(途中略)学校はひどく汚れ、荒れ果てていた。職員室の校長室前には印刷機が置かれ、全体が見えないようにしてあった。壁には10年以上前の掲示物が張られたまま。校舎には投げ捨てられた菓子袋が舞い、校門には、たばこの吸い殻が転がる。地域を歩けば、川には多数の古い自転車が放置され、キツネの死骸が悪臭を放つ。悲しむべきは、誰もがそれを目にしながら何もしないことだった。その昔、川には蛍が舞っていた。ふとそのことを思い出し、学校再生の一歩にしようと考えた。そして、職員にこんな宣言をした。「川に蛍を飛ばそう」。勿論全員が無反応。生徒指導に疲弊した職員にとって、たわ言に聞こえたようだ。次に、地域の方を集めてこう言った。「川に蛍を飛ばします!」想定通り、失笑が飛び交った。「無理」だと言われた。しかし、それでも協力者が数人集まり、確信した。「川にきっと蛍が飛ぶ。それが変革の起爆剤になる」

 活動が始まると、川から自転車を引っ張り上げた武勇伝や児童と職員による川の清掃に関わる報告書が届くようになった。1年後、蛍が飛んだ。2年後、児童や保護者、地域住民を集め「蛍の夕べ」を開催するまでになった。蛍の数より、参加者の方が多かった。懐疑的だった職員や保護者も自主的に参加して、カレーライス、かき氷、ポップコーンを振舞った。その後、近所の農家の方が怒りながら校長室に現れる。「『蛍の校長』はあんたか!わしは今、近所の農家を怒ってきた。学校に協力して農薬を減らせと言ったが、聞いてくれん。でも、まずわしは、減らしていく」。地域と学校が繋がった瞬間だ。
  
 蛍が舞い出し、地域だけでなく学校も変わった。怒鳴る教職員が皆無になり、児童も急速に落ち着き出した。川を綺麗にしたことで、校内を綺麗にする意識が芽生えた。今の学校に足りないものは、弾力性のある人間関係。地域と正しく繋がれば、絶大な支援が得られ、大きく変わっていく。(途中略)

 本記事を読んだ私が思い出したのは、20年程前に、この地区でも同様の光景が展開されたことでした。当時、私は中学校3年生の担任でした。日々荒れる学校の後始末等生徒指導に疲弊した教職員(同僚の中途退職者も出ました!)に囲まれていた私にとって、救いだったのは2方面からの言葉でした。「より良い学校に戻したい」と思う教え子たちと学年PTA会員全員からの「私たちに出来ることや手伝えることありませんか?」でした。この頃に庄西3校区防犯協議会が発足しました。生徒と保護者、学校が一体になる瞬間で、今でも忘れません。津田氏が述べられる「弾力性のある人間関係」という言葉が私の心から離れません。読者の皆さんは、どのようにお考えですか。



みんながわくわくする学校を「自分から」