漁師は津波に向かった!(沖出し) 1/27 512号
- 公開日
- 2024/01/29
- 更新日
- 2024/01/29
校長室
昨日の富山新聞に衝撃的な記事が載っていました。
1日の地震で大津波警報が発令された後、珠洲市の蛸島漁港から走る船があった。同市野々江町の漁師濱野慶弘(66)さん。多くの住民が高台を目指す中、自らの漁船に被害が出るのを防ごうと、あえて海を目指した。波にのまれ、転覆する恐れもある危険な方法だが、濱野さんは「船は漁師の命。迷いはなかった。」と振り返った。
地震発生直後、停泊中や操業中の漁船を沖合へ動かすのは「沖出し」と呼ばれる。水深が深く、海面上昇の影響が小さい沖合へ移動させることで津波をかわす手法だが、波に巻き込まれたり、移動中に転覆、沈没したりするリスクもある。
東日本大震災では実際に命を落とした人もおり、水産庁は沖出しを原則として禁じている。濱野さんも危険性は認識していたが、「船がなくなったら生活できんようになる」との思いが勝ったという。
1日の地震発生時、妻の制子(54)さんとともに自宅で正月を過ごしていた濱野さん。揺れが収まるのを待ち制子さんに高台へ逃げるよう伝えた。「あんたはどうするの?」。制子さんの問いかけに濱野さんは、「港に行く。船と心中や」と答え家を飛び出した。(途中略)
濱野さんの取られた行動は、決して肯定できるものではないと思います。残された奥さんはどんな思いでご主人の帰りを待っておられたのでしょうか。しかし、私は「漁師にとっての船」「漁業は命がけ」という点で考えさせられるものがありました。今後お魚を頂くときには、こんな漁師さんの思いを忘れないようにしたいものです。