学校日記

個別最適な学び 12/15 493号

公開日
2023/12/15
更新日
2023/12/15

校長室

「個別最適な学び」とは、子供が自らの学びが最適となるよう、自己の特性や学習進度等に応じ、学習の課題や内容、教材や方法等を選んだり決めたりしながら学ぶことを指します。その実現には、教師が子供の実態に応じて学習内容の確実な定着を図ることが必要です。これまで以上に子供の成長やつまずき・悩みなどの理解に努め、個々の興味・関心・意欲等を踏まえてきめ細かく指導・支援するとともに子供が自らの学習の状況を把握し、主体的に学習を調整できるようにする。(一部略)

 偶然2年生のA君と校長室で算数の取り出し学習をすることになりました。担任の先生に確認すると今日の算数は、かけ算九九のプリントをやって丸付けをする授業を予定しているとのことでしたので、そのプリントを校長室へ持って行って一緒にやることにしました。私は教材研究をしたわけではないので、昔2人の息子が低学年の時に家庭でかけ算九九を教えていた頃を思い出しながら進めました。黙ってA君のプリントをやる様子を見ていたら、すらすら答えられる問題とそうでない問題に分かれました。そのうちにA君が「校長先生この答えは?」と尋ねてきたので、「校長先生が答えを教えてしまったらおしまいだから、分かる問題からやっていったら?」と助言しました。A君は、言われた通りに得意な九九から埋めていき、残りはおぼろげな記憶で解答していました。

 丸付けをしてあげた後A君に提案しました。「A君は九九を覚えているところとそうでないところがあることが分かったよ。今からこの九九表に覚えているところだけまず書いてみてごらん!」A君は自信のあるところのみ記入しました。「次に空欄に〇印をつけるね。」「七七が空欄だけど隣は七六四十二と書いてあるよね。どうしたら七七を忘れた時に答えらるかな?」「あっーそうだ42に7足せばいいんだ。」「その通り。じゃーこの考えで他にも丸印埋めてけるんじゃない?」A君が丸印を埋め始めます。「九三が埋めてないけど、三九二十七は埋めてあるよね・・・。」「あー分かった。逆を使えばいいんや。」とつぶやき、残りを埋め始め、九九表を完成させました。

 「じゃー最後に整理しようか。私たち大人は今一緒に考えたことをやるの大変だから九九を全部暗記しているんだよね。そこで暗記度チェックだよ。自信のある段には〇を微妙な段には△を、そして殆ど自信のない段には×をつけてごらん。」A君が印をつけ始める。「A君は6と7の段が△で、8と9の段が×なんだね。そしたら、次回まで6と7の段覚えてくるのことにしよう。」「分かった。えー校長先生もう50分も経ったの?」「今日ずいぶん頑張ったね。」と言葉を交わし、校長室を去っていきました。A君にとっては、今日の学びが腑に落ちたようです。
 
 自画自賛で恐縮ですが、「えーもう50分も経ったの?」がキーワードだと思っています。普段なかなか集中力が続かないA君ですが、今日は本当によく頑張り、感動しました。一斉授業の中でここまで、個別学習は難しいにせよ、こんなきっかけ作りぐらいは出来ないかなと思いました。