クマの厳戒いつまで? 11/16 473号
- 公開日
- 2023/11/16
- 更新日
- 2023/11/16
校長室
庄南っ子タイム(業間)の時間に子供たちの遊ぶ様子を見ていますと、築山のドングリの木の下に数名の男の子が集まっていました。「何してるの?」と尋ねると「ドングリの実を集めているんです。」と返ってきました。子供たちは、本当に嬉しそうな表情をして、ビニール袋いっぱいにドングリの実を集めていました。
私は、一瞬不安になりました。これだけクマ出没が日々叫ばれている中で、学校のグラウンドにドングリの木があっていいのかという不安です。ドングリの木とクマの関係についてネットで調べてみました。
里山に下りてきたクマと人が出合い、被害を受けるニュースをときどき耳にする。山にはクマがあふれているのだろうか? そうではない。クマは、環境省が作成しているレッドリストでは「絶滅のおそれのある地域個体群」とされ、地域によっては絶滅が危惧されている動物だ。そのため、保護を必要とする動物でもあるが、実は、その生態には不明な点が多い。
日本には北海道にヒグマが、本州と四国にツキノワグマが生息している。ツキノワグマは、植物や果実、昆虫などを食べる雑食性の動物だ。秋には冬眠に備えて食物の中でもドングリを好んで食べる。そんなツキノワグマが、ドングリを食べるのに、結実の豊凶に合わせて採食行動を変化させ、採食効率を高めていることが、東京農工大学と森林総合研究所の研究チームの調査で分かった。
ツキノワグマはドングリを食べるために木に登ることがある。しかし、木に登っても、細い枝先までは移動できない。そこで、大きな枝の股などに座り、ドングリのなっている枝を手元にたぐり寄せて採食する。採食した枝が折れてしまえば下に落とすが、中途半端に折れたものは手元に残る。ひとところに座っていくつもの枝をたぐり寄せれば、折れた枝が積み重なり、あたかも鳥の巣のように見える。これを「クマ棚」という。
凶作の年には、豊作の年には登らないような木でも使われており、その中でも結実量の多い木を利用していた。ドングリが実る3樹種(ミズナラ、コナラ、クリ)の間に特定の樹種への選り好みはなく、樹種を問わずに、より多くドングリが実った木を選んで採食していることが分かった。つまりツキノワグマは、凶作の年でもやみくもにドングリの木を利用しているのではなく、短時間でできるだけ多くの採食が行えるように、結実量を判断して効率よく採食しているようだった。
クマは秋の間に脂肪を蓄え、冬眠中は採食しない。飼育したクマを観察した例では、1年のうちでもっとも痩せていた冬眠明けの時期に比べて、冬眠が始まる直前には、体重が約30%も増えていたという。その脂肪のもととなるのがドングリだそうだ。クマにとってドングリは、冬眠を乗り越えるための重要な食べ物であるといえる。
一方で、森林の中でドングリは、ツキノワグマのほかにもイノシシやシカ、ネズミなどが利用する。ドングリは、木の上で成長が止まった緑色の時と、落ちた茶色い時とでは、大きさも栄養価もさほど差はないという。豊作の年は、ドングリの実が落ちてから食べてもほかの動物との競争は激しくないかもしれない。しかし凶作は、ツキノワグマにとって、冬眠をうまく乗り越えられるかどうかの一大事だ。そのため、実が落ちる前にほかの動物に先手を打ってドングリの木に登り、できるだけ多くのドングリを採食しようとしているのかもしれない。
昨日の県小学校長会でも今年はクマの出没に振り回された1年だったことが話題になりました。クマが冬眠を始めると言われている12月初旬が待ち遠しいです。