生成AI指針案 新技術の功罪、割れる賛否 児童生徒利用には懸念も 6/23 406号
- 公開日
- 2023/06/23
- 更新日
- 2023/06/23
校長室
対話型人工知能(AI)「チャットGTP」など生成AIについて、文科省が策定する小中高校向け指針の原案が判明しました。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」に代表される生成AIの教育への活用は、大学を中心に始まっています。リポートへの安易な使用などリスクをはらみながらも、これからの社会で不可欠な力だからです。ただ、情報リテラシーが未熟な児童生徒の利用には学校現場に懸念があり、日本でも海外でも賛否は割れます。新技術がもたらす功罪を巡り模索が続くようです。
神戸市の甲南女子大文学部メディア表現学科の演習では、2年生がチャットGPTを使って15回分の模擬的な授業計画(シラバス)を作成しています。広告表現に関するシラバスを作るグループは、授業の目標を「広告が作られる目的を製作者側・消費者側の視点から理解できる」などと指示しました。すると、チャットGPTは「歴史と現代社会における役割」「ジェンダー表現や多様性」といった各回の授業テーマを列挙。学生はそれらを基に内容を話し合ったり、チャットGPTに新たな指示を出したりして、シラバスを完成させています。この演習を考案した高尾俊介准教授(プログラミング)は「学生が一から授業づくりをするのは難しいが、AIが枠を示すことで達成できる」と効果を指摘。その上で「人間がAIを使うのであって、AIに使われてはいけない」とくぎを刺しておられます。
学習指導要領で情報活用能力の育成をうたい、全小中学生にデジタル端末を配備して日常的な活用を推進する文部科学省。生成AIの議論は避けては通れないものですが、学校現場や与党内に利用への反対意見は少なくないようです。そもそも未成年の利用を制限している生成AIは多いようです。チャットGPTの場合、13歳未満は使えず、13歳以上18歳未満は保護者の同意が必須です。
指針の原案では「利用規約の順守を前提として、生徒の発達段階や実態を踏まえ、教育活動の目的を達成する上で利用が効果的か否かで判断する」との基本的な考え方が盛り込まれましたが、ある文科省幹部は、「なぜ学ぶのかを子どもに説明すれば、ずるをしても意味はないと分かる。指導要領が掲げる主体的で深い学びに役立つなら授業で積極的に使うべきだ」と話しておられます。
指針では、児童生徒が定期テストに使うのは不適切といった注意点が並べられており、また、夏休みの読書感想文やコンクールへの作品応募の際、生成AIを使ったのに自分で作成したと装って提出するのは不正行為だと指導する必要性が盛り込まれています。
私なんかは「チャットGTP」等の生成AIとは、どんなものかピンと来ませんが、将来学校現場への導入が検討されるのは間違いないと思います。どの年齢、どの上級学校から導入するのか十分検討してもらえればと思います。