中庭

学校日記 school diary

季節 no.325

公開日
2022/07/21
更新日
2022/07/21

校長室より

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気温は少し低いものの、やや湿度を感じる天候の中、いつものように出中生は今日も学習に励んでいます
多目的スペースでは1年生が、音楽科の授業でパートに分かれて主体的に合唱の学習を進めています
2学期の合唱コンクールに向けてかな?
学校ではこのような風景で季節を感じます

北半球では暦の上で季節は夏
ヨーロッパでは記録的な熱波による高温で、大きな被害が出ていると報じられていました
日本では、梅雨明け宣言と同時に、梅雨のような空が続き、梅雨明けの期日が修正になるかもと報じられています
自然相手に、人類は何とも非力であるかが、突きつけられている気がします

そのひとつの気象について、古代中国で考案された季節を表す方式が七十二候です
今日は「鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)」
小暑の末候であり、今年度は7月17日〜7月22日がその期間であり、5、6月に孵化した鷹のヒナが、飛び方を練習する時季です
学習です
鷹にとって、「飛ぶ」ということは他の動物と同様に、「獲物を捕る」こと、つまり生きることです
そしてその能力を利用したのが人類であり、「鷹狩り」です
中央アジアで4千年ほど前に始まり、世界中に広まったとされています
日本へ伝わったのは4世紀半ば
古代、皇族や貴族高官の特権であり、神事・儀式だった鷹狩りは、武士の時代になれば武芸のひとつとされ、鷹狩りは粋を極めます

鷹の語源は「猛々しい」の「タケ」が「タカ」に転じたといわれます
鷹は気難しくて、繊細な野生の鳥です
犬や馬と違い、鷹は巣立ったら単独で行動する動物ですから、鷹匠が鷹をどのように教育するのかは大変興味深いことです

調べてみると、鷹匠による鷹の訓練は、「慣らし」「仕込み」「使う」の3段階だそうです
鷹は忍耐強く、練習の繰り返しに飽きません(※飽きっぽい鷹は自然淘汰されたとも言えます)
狩りで失敗すれば、次はやり方を変えるなど、高い学習能力をもっています
鷹匠は、地道に鷹の気持ちに寄り添いながら、細心の注意を払って育てます
やり直しのできない一発勝負だそうです
また、高貴な方と同席する機会も多いので、人に驚いて獲物を持って逃げないことや、落ち着いてエサを食べることまで、海外では教えない内容を日本の鷹匠は教えるそうです

日本だけと言えば、「羽合せ」も日本独自です
獲物を追うとき、日本では鷹と人が息を合わせて、鷹を投げます
鷹匠が鷹と意思疎通を交わして、鷹が行きたい方向へ鷹匠が投げるのです
そうすることで鷹は自分だけで飛び立つよりも、素早く確実に獲物に近づけるのです
この信頼関係は、野生の鷹の思いに沿って人間が仕えることではじめて可能になるそうです
言葉の通じることのない人間と鷹の間の教え・教えられる関係
それだけに教育の基本に通じると感じます


<参考図書>
波多野 鷹 氏 著「鷹狩りへの招待」(筑摩書房)
花見  薫 氏 著「天皇の鷹匠」(草思社)